ジャケット
アルバムタイトルは「Distantscape」。
本と現実のはざまに存在する世界。遥か遠く、人の手の及ばない高みにある世界樹。
本作の曲の多くが大好きな小説をモチーフに作られました。
そのような世界観を神絵師のmochaさんがくみ取ってくださり素晴らしいインラストレーションを描いてくださいました。ほんとにすごいんですよ。いつまでも見ていられます。家宝にします。
神音楽仲間の清水 嶺さんにお願いしてM-5「12月のある晴れた日に」のピアノソロを弾いていただきました。すんごい神演奏でおしゃれなピアノソロをありがとうございます!
そして嶺さんご自身のアルバムのジャケットがいつも素敵なんですよね。無理を言ってジャケットデザインをお願いしてみたら快く引き受けてくださって、本当にお世話になりました。
そしてそして、M3当日の頒布の委託も引き受けてくださいました。どんだけ世話になっているの自分。嶺さんがお住みの○○方面にはもう足を向けて寝られません。
トラックリスト Track List
- デゼール・ヴィオレ
Desert Violet (Tribute to 紫の砂漠) - エスペランス
Esperance (Tribute to 大潮の道) - 島々を渡る者
Island Wanderers (Tribute to 煌夜祭) - レインドロップ・ダンス
Raindrop Dances (Tribute to ニューロマンサー) - 12月のある晴れた日に
A Sunny Day in December - 秋ノ風
Autumn Wind - トワイライト・メッセンジャー
Twilight Messenger (Tribute to ささらさや) - スカボロー・フェア
Scarborough Fair - 糾える記憶
Interwoven Memories [Pilgrims] (Tribute to 煌夜祭) - 海の中の永遠
Eternity in the Sea (Tribute to 塩の街)
■ All tracks composed (except tr.08), arranged & programmed by: startide/hiro
[web] https://startide.info/
[twitter] @startide0
■ Piano Solo (track 05) & Jacket Design: 清水 嶺 (Unknown Dimension)
[web] https://unknown-dimension.com/
[twitter] @Rei_Shimizu
■ Illustration: mocha
[web] https://www.pixiv.net/member.php?id=648285
[twitter] @mocha708
(C) & (P) 2022 startide/hiro
(X) (L) STCD-009
CDを作る
私事になりますが2021年秋に大きな病を患っていることが判明しました
当初はかなりショックを受け動揺しましたが
次第に覚悟を決め病と闘うモードに入り辛い治療を続けてきました
それ以来療養しつつも可能なときには曲を作ってきました
これまで自分のアルバム・シングルはディジタルでしかリリースしてきませんでしたが
次のM3は50回目という記念すべき回、そこで
もしかするとこれで最後になるかもしれないCDを
一生に一度はきちんとしたパッケージでリリースしてみたくなったのです
無理を言って神絵師のmocha様にイラストを描いてもらい
無理を言って神音楽仲間の清水 嶺様にジャケットデザインと頒布の委託をお願いしました
本当に本当に残念なことに、私自身は療養中で長時間の外出が難しく、M3会場に行くことがかないません。このCDは、Unknown Dimension様のご厚意で2022秋M3/2023秋M3にて委託頒布いたしました。
アルバム試聴
全曲クロスフェード
試聴 01 デゼール・ヴィオレ
トラック01の「デゼール・ヴィオレ」をフルで試聴できます!
試聴 02 海の中の永遠
トラック10の「海の中の永遠」をフルで試聴できます
物語をつなぐ
最新作「Distantscape」に収められている曲の多くは、自分が読んできた物語にトリビュートしています。少しずつ解題し物語へつないで行けたらと思います。
1. デゼール・ヴィオレ
紫の砂漠 / 村松栄子
7才になると生みの親元を離れ真実の愛に目覚めるまで性が確定しない世界。
その中で主人公は様々な出会いと痛烈な別れを経験し変わっていきます。
ジェンダーをめぐる物語と捉える方が多いようですが、自分は純粋にSFとして読みました。
電子版も出ていないしとっくに絶版ですが機会があればぜひ。
とにかく主人公の経験する別れが過酷。
読み始めはファンタジーですが思いもかけなかったハードなSF要素にくらくら来ました。
独特の空気感も手伝って複雑な読後感でした。
記憶をまっさらにしてまた読みたい。
2. エスペランス
大潮の道 / マイケル・スワンウィック
不思議な手触りのSFです(SFばっかりで済みませ)
最後まで主人公の名前は明かされませんがめくるめく展開にそれどころではないのです
大潮によって陸地の大半が飲み込まれてしまう惑星へ派遣された星間政府の役人。
禁制テクノロジーの疑惑を調査するうち美しくも怪しいこの星の罠にからめとられていく。
めくるめくテクノロジー、例えば、リモートで動作する「代体」との融合、自立する書類鞄等のガジェットと妖しげな魔術の対比。
絶妙な感じでえろてぃっくです。
なんだか長い長い詩を読み終わったかのような読後感。
これまた絶版で電子版も出ていませんが機会がありましたらばぜひ。
3. 島々を渡る者
煌夜祭 / 多崎礼
多崎礼氏の名著「煌夜祭」。第2回C・NOVELS大賞を受賞した素晴らしい物語です。
twitterでもここ数年冬至の夜に著者自らが主催するバーチャル煌夜祭が開かれております。
すごいですね。
自分は楽曲による参加で末席を汚させていただいております。この曲は2019年の煌夜祭へ寄せた曲になります。
2019年の発表時よりかなり改稿しましたので曲の印象は変わっているかもしれません
巷でいまだに増刷の版を重ねる名著「煌夜祭」。まだお読みでなければ是非是非。電子版もあります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4122057957
4. レインドロップダンス
ニューロマンサー / ウィリアム・ギブスン
言わずと知れたサイバーパンクの傑作。何度読み返したことか。計算機エンジニアのプロとしての自分の知っている世界とは違いますがこういう世界の可能性はまだある。
印象に残る場面は多いのですがその中でも自分はフラットライナー中の砂浜のシーンが好きでまた曲を書いてしまいました。
まだ絶版になっていないし電子版もあります。
7. トワイライト・メッセンジャー
ささらさや / 加納朋子
この小説がなぜこんなに刺さったのか自分でもよく分からないのですが、長いアメリカ生活で日本語に飢えていた時だったからしれません。
砂に水がしみこむがごとく、でした。
優しい物語ということになるのだと思います
その物語で答え合わせのような章、これが最後になってしまうその圧倒的な寂寥感と、矛盾するような訣別の潔さと。そして物語を通して流れる穏やかさ。
それらの入り混じった感情を、どことなくこの曲に感じていただたらうれしく思います。
9.糾える記憶(遍歴)
煌夜祭 / 多崎礼
再び煌夜祭。
こればっかりは読んだ人にしか分からないことですが比類なき読書体験です。緻密に編まれた物語が見えてきた瞬間、戦慄が走りました。これ以上はネタバレになるので言えません。とにかく名著です。
文庫版に新たに書かれた短編「ピルグリム」を読んでこの曲を書きました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4122057957/
10.海の中の永遠
冒頭に描写される廃墟となった東京の風景が秀逸。
導入となるエピソードで鎌倉の海の美しい夕日のシーンが本作の中で最も印象的でした。
そのシーンを思い浮かべながらこの曲を書きました。
とにかくそのシーンが静謐で切なくて、思いを通じ合わせることのもどかしさと厳しく虚しい現実……。
頒布
・2023/10/29の秋M3、第二展示場 ケ-10a Unknown Dimension様のブースで委託頒布を行いました
・現在はBOOTHにて通信頒布しております