打ち込みギター楽曲投稿祭2026に参加しました

打ち込みギター楽曲投稿祭2026に、2曲参加しました

【概要】
[LeftHanded-GitCho-(ぎっちょ)さんと] ケージーさん(https://x.com/kirune_sing)との共同企画です!
打ち込みギターに特化した楽曲の投稿祭となります。【趣旨】
打ち込みギターは、どうしても「弾けない人の代替手段」と見られがちです。
多くの人が「打ち込みであること」をあまり明記しません。
その結果、ノウハウも成果も共有されにくいままになっていると感じています。この投稿祭は、打ち込みギター楽曲だけを集めることで、
「これだけ鳴らせる」「これだけの人がいる」という事実を可視化する試みです。そして同時に、演奏録音を排除することで参加の心理的ハードルを下げ、
「ちょっと出してみようかな」と思える場になればと思っています。※ランキング等、作品の優劣を競う場ではありませんので、お気軽にご参加ください!

規格に参加した投稿作品一覧はこちらにまとめられています。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/15HsF37gg68uQUAp9MoodHmDVVru5p3qllm11GFbOJa8

自分は次の2曲で参加しました。

  • 驟雨、夕暮れ、夏の終わり
    夏の終わりのにわか雨が立つ夕暮れ、という情景を描いた曲です
    もともとはアコースティック調だったのですがアレンジしてハードなギターソロまで入った曲になりました
  • Gypsy WindというCasiopeaの大好きな曲をガチコピーしました
    動画は全編ピアノロール!ギターのパート等の打ち込みを直接ご覧になれます
    昔々いわゆるMIDI音源向けに頑張って打ち込んだものをDAWに移植・復活(の途中)です

イベントの趣旨を汲んで、制作の内側を少しお話しようかと思います。というわけで、ここから先は少しマニアックな制作覚書のようなものになります。
ガチコピーのGysy Windの方を主に語っていきます。

ギター仮想音源

まずはギター音源のお話から。この曲で使ったのはMusicLab RealLPC 6です。世に数多あるギターの仮想音源の中でもかなり早い時期にリリースされたギター音源です。音色的には今さら特筆すべきところはないのですが、アーティキュレーションが使いやすく組みやすいのでエレキギターはいまだにこれメインです。いつの間にかバージョン6にまでバージョンアップされていますねぇ。有り難いことです。どこまで行くんでしょうか。かと言って、どこぞの〇〇〇のように一気に飛んで”26″なんてバージョンにはしないで欲しいですがw。
ひところは不安定でjbridgeを介してDAWプロセスから追い出さないと使い物にならなかったものですが最近はVST3でも安定しているようです。

ここ何年かAmple Soundのギター音源が人気の様ですが、上下のピッチベンドにそれぞれ別のベンド幅の設定が出来ないのが致命的で、Ampleのエレキギターは自分としては使えません。特に下のベンド幅は大きく取りたいのです。ベンド幅が関係ないアコースティックギターは使っています。
(どうしてアームがついてないLPで下のベンド幅が問題になるの?というのは良い質問です。ですが、実機にアームが付いてなくたって仮想音源なら何でもアリなのです。弦がびろんびろんになるまでフルダイブしたいじゃないですか!笑)

この曲ではピックアップはネック側を選択。ピックのポジションもかなりネック寄りです。

RealLPCにはエフェクタ/アンプとしてオープンソフトウェアのGuitarix(元々はLinuxのJack Audio Connection Kit用)が内蔵されているのですが、そのプリセットが続々発表されています。有名アーティストの有名楽曲の音をシミュレートするパッチ等 案外雰囲気がよく出ているので面白いです。
ちなみに、Guitarixはプラグインとしても提供されていて単体で使用可能です。Realシリーズをインストールすると同時にインストールされるようです。

音色

最初はやはり国産アンプの雄であるJC(ジャズコーラス)かなと思ったのですがAmplitubeのJCはいまいち合いませんでした。いろいろ試した結果半ばあきらめてRealLPC内蔵のアンプを使うことにしました。

音色に特徴的なのが、特にエフェクターのコンプでしょう。当時のフュージョンのクリーンな音色はかなり激しくコンプで頭をつぶしていました。Casiopeaと言えばヤマハ。ここではヤマハ陣営Cubase内蔵VST AmpRackのコンプを100%かけています。見た目も昔のヤマハのストンプボックスに似ている気がします。

しかしそれでもまだ足りなかった。インサーションエフェクトの後段でRCompでさらに潰しています。ここまでやって何とか当時の音色に近づけられたのではないかと思います。

あと必要なのはEQ。これは人それぞれなんですよね。自分は、WavesのPuigtech EQP1Aを使いました。

 

 

忘れてはならないのが空間系のエフェクト。今回はコーラスとディレイをかけています。コーラスは幾つか試して一番しっくりきたP&M Chorus Ensembleをさしました。コーラスは同時に音色にも大きく影響します。具体的にはローエンドががっつりなくなります。フュージョンの軽いギターの音色には欠かせないものです。

ディレイはごく薄く、ほとんど聞こえないぐらいにかけています。場合によってはがっつりかける場合もありますが、この曲はそうではない感じです。

ちょっとだけサチュレーションを入れたくて、Aphex Vintage Exciterも刺してみました。

少しだけ他のトラックに埋もれにくくなりました。

ダイアルの7までかけるとちょっとかけすぎなのでその直前までかけました。

奏法

MIDI音源華やかりし時代は音源にアーティキュレーションなど皆無。ビブラートもベンドもスライドも全部ピッチベンドでシミュレート。結果、似てなくもないけどやはりどこか違うサウンドになってしまっていました。
今ではギター専用音源を買ってくれば様々な奏法が含まれていてはるかに自然な演奏が可能になっています。

ギターの奏法は本当に様々なものがありますが、この曲で使ったのは主に次の物です。

  • スライドイン
    1または2フレットぐらい下からスライドして目的の音に到達します。フレーズの先頭の音に使ったりします。
  • グリッサンド(ダウン)
    ギターのフレーズの最後に下方向へグリッサンドします。各フレーズの終わりをきれいにまとめるためよくやります。ハイゲインのソロのときなど全てのフレーズの終わりに入れたりします(その間にボリュームを絞る)。
  • ベンドビブラート
    エレキギターに特徴的なビブラートで、弦と垂直方向に力を加えて音程を変えるベンドを細かく繰り返してビブラートとする手法です。ピッチベンドで表現しています。
    ギター打ち込みの良しあしはかなりビブラートによるところが大きいので、ここは十分手間をかけてやりたいものです。
    ちなみに自分はMIDIキーボードのスティックからリアルタイム入力でこのMIDI CCを打ち込んでいます。
  • オクターブ奏法
    単にオクターブ下と上の音を同時に弾くだけですが、間の弦をミュートしてピックで弾く方法と、下をピックで弾いて上を他の指で弾く方法もあります。特に後者の場合、上のオクターブの音の発音タイミングが少し遅れることがあります。打ち込みでもそれをシミュレートします。
  • ハンマリングオン/プリングオフ
    鳴っている音と同じ弦の上のフレットの音(ハンマリングオン)または下のフレットの音(プリングオフ)を、ピックで弾かず指でハンマーのように弦を押さえたり(ハンマリングオン)、ひっかくように離したりする(プリングオフ)ことで音高を変える奏法です。アタックがなく、いわゆる「レガート奏法」のようなニュアンスを出します。
    まともなギター音源にはアーティキュレーションとして存在します。キースイッチで有効にしたり、音を重ねて打ち込むこと等で使います。
    ギターのフレーズが単調にならないために使われますが、速いパッセージでピッキングなしで素早く音を出すのにも使われたりします。
  • スライド
    二つの音を滑らかに繋ぐ奏法の一つですが、ハンマリングオンやプリングオフとは違って指を指板上でスライドさせて次の音へ到達します。
    これも、まともな音源ならアーティキュレーションとして存在します。
    MIDI音源時代にはピッチベンドでスライドを表現するしかなかったのですが、シンセのポルタメントと異なりフレットを持つギターではスライドは「半音単位」で音高が変わります。従ってスライドをピッチベンドで疑似的に表現する場合ベンドカーブは基本階段状になります。シンセサイザーのポルタメントのように直線的・連続的に音高が変わるようだとギターの演奏には聞こえなくなってしまいます。
    アーティキュレーションとしてスライドが存在するのならそれは録音されたものかもしれないし合成されたものかもしれませんがピッチベンドよりはましな筈です。きちんとそちらを使って自然な演奏としましょう。
  • ミュート
    手のひらや指の腹などで弦に触りつつ独特の音色を出すこともミュートと言いますが、音を途中で切る、表現としてのミュートもあります。この曲では一曲を通してクリーントーンなので前者のミュートは使っていませんが、音価の調節は細かく行っています。
    弦を押さえている左手の指を浮かせて音を止める方法、右手の親指の腹などで弦を触って音を止める方法、ピックを弦にあてて音を止める方法などいろいろあります。最後のピックを弦にあてるミュートは強い感じのミュートになります。
    この曲では専ら左手の指を浮かせて音を止める、という体で、要するにMIDIノートの長さを短くしたりで表現しました。

というわけで奏法のプチ解説をしてみました。

雑感:ギター仮想音源に足りないもの

ちょっとタイトルが大きく出てしまいましたが、現状世にあふれているギターの仮想音源にはどうしても演奏の録音に比べて限界があります。特にゲインの小さ目な音で演奏する時などですね。

個人的に一番感じるのは、「ギター音源の音はきれいすぎる」というものです。実際のギターの音はノイズまみれだしリズムもピッチもそこまで整っているわけではないし、もっともっと汚いということが多いと思います。ところがギター音源はどれもこれもとても録音が綺麗。きれいすぎて偽物ぽく聞こえてしまう。
これが実際の録音とギター音源と一番大きな差ではないかと思うわけです。あえて言うといわゆる「汚し」みたいなもの。ギターでいうレリックとまでは行かなくとも、テーマパークの内装外装に診られるような使用感・風合いのようなものが感じられない。

いずれは「汚し」の得意なギター音源が出てくるとは思っています。ですがまだその時ではないようです。
と、本筋とは関係のない雑談をして、このページの締めくくりにしようと思います。お疲れさまでした。

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